報道自由度ランキングは国境なき記者団(RSF)が毎年180の国、地域に対して報道の自由度を数値化しランキングしたもの。
日本人の多くが日本は報道自由の国と思っているが、僕たちジャーナリストや海外の人たちから見るとかなり自由度が低い国という認識になっている。
講演の時、日本の報道自由度ランキングが低いとお話しするとびっくりする人が殆ど。
中には俄かに信じられなくて、所詮誰かが勝手に決めたランキングでしょう!という人も。
日本の報道自由度ランキングは昨年の68位から二つランクダウンした70位。
日本という先進国が180分の70位という時点でかなり問題ありだと思う。
どんなレヴェルかというと、戦争中のウクライナ(61位)報道に問題があるとされている韓国(62位)より下、当然のようにG7の中で最下位(今年だけでなく昨年も最下位)。
ちなみにG7のランキングは
1位 ドイツ10位
2位 カナダ14位
3位 フランス21位
4位 イギリス23位(26)↑
5位 イタリア46位
6位 アメリカ 55位(45)↓
7位 日本70位(68)↓
70位前後の国をピックアップしてみた。
67位 ハンガリー
68位 東カリブ諸国機構
69位 コンゴ共和国
70位 日本(68)
71位 コモロ
東寄りで色々と自由がない国ハンガリーよりも下、アフリカのコンゴ共和国よりも下。
これを見てもまだ納得できない人も多いと思います。
NGOとはいえ、人が決めたランキングだから、、実際日本では自由に発言できるし、テレビや新聞も自由に報道できている筈、、と。
報道自由度ランキングはジャーナリストや報道機関の活動の自由度を測定したものです。
評価手法はジャーナリストによるアンケート定性調査と、各国内でのジャーナリストに対する暴力行為統計の定量調査を組み合わせています。
定性調査では、「意見の多様性」「政治・企業・宗教からの独立性」「メディア環境と自己検閲」「報道に関する法制度」「報道に対するルールの透明性」「報道のインフラの質」を測っている。
ちょっと難しい感じに思えるかもしれませんが、安易に決めているわけではなく多岐にわたる細かい指標を設定してその国、地域の報道自由度を測っています。
国境なき記者団(RSF)はランキングするだけでなく、その国や地域の問題点に言及しています。
今年は日本に対して、「伝統の重みや経済的利益、政治的圧力、男女の不平等が、反権力としてのジャーナリストの役割を頻繁に妨げている」と批判。
政府や企業が主要メディアの経営に日常的に圧力をかけているとみなされ、汚職、セクシャルハラスメント、公害等、センシティブとみなされる可能性のあるテーマについて激しい自己検閲が行われていると指摘された。
ちなみにジャニーズ問題は業界人、マスコミなら誰でも知っている事だったが、誰も声を上げる事なく、最初に報じたのはBBCだった。
かつては第2次安倍政権の発足以降にジャーナリストに対する不信感が広がったとする一方で、記者クラブ制度がメディアの自己検閲、フリーランスや外国人ジャーナリストらの差別につながっていると言及しています。
官房長官が記者会見で、東京新聞の女性記者の質問に「あなたに答える必要はありません」として答えなかったことや、新型コロナウイルスを口実に記者会見の参加者を減らした、と指摘。「(菅氏は)政府がメディアの取材に介入しようとしてきたことに責任を負っている」として改善を求めたこともありました。
日本の報道に問題があるとして、2016年4月に特別報告者が来日。
国連人権理事会の「表現の自由」に関する特別報告者、デービッド・ケイ氏が日本政府に対し、報道の独立性を確保するために、法律を改正すべきだなどと要請した。
これは秘密保護法のことを指しているのだが、、当時の官房長官は「内政干渉だ」と発言している。
実はこの特別報告者が来日は2015年だったのだが、日本は特別報告者の来日をドタキャンしている。これに対して、国連と合意した公式訪問調査日程をドタキャンするという事は普通の民主主義、人権を大切にする国では殆ど例を見ない!と言われた。
問題は特別報告者の来日をドタキャンしたという事実を殆どの日本人が知らないこと。
日常的な報道を見て、表面的に日本は報道自由の国と思ってしまっていること。
政府批判をしたら逮捕、拘禁されてしまう国もある中、日本はジャーナリストが逮捕されることもなく、自由にものが言えている。。
そんな日本だから、国境なき記者団(RSF)は「激しい自己検閲が行われている」と言及した。